上海の水
水の不味さはガイドブックに無かった。
着いた夜に上海料理のレストランに入って、頼んだお茶が先ずテーブルに届いた。上海で初めて口にしたのがそのお茶。衝撃の不味さ。
普洱茶のようにカビ臭い。カビの奥に少しだけ注文した茶葉の微かな味がする。こんなインチキな茶葉を使うなんて、とかなり不満。
料理はどれも美味しい。シーズンの蟹は素敵だった。好物の田鰻も結構な塩梅でご機嫌。喉が渇いてデザートの果物の水分では足りず不味いと知っているお茶に手を出す。
時間が経って濃く出た茶はカビに勝る程度にお茶の味、
おや?これは。
どうやらお茶の不味さは茶葉ではなく水のせいかと思いつく。しかし何故こんなに不味い水を使うのだろう。
スープを含め料理はどれも美味しいのに、不思議。
帰ったホテルでシャワーを浴びようとしてその水までがカビ臭い。水道水の全てがこれなのだった。
外灘を歩いて河の水が同じように臭うことに気付く。この黄浦江が元凶なのか。
料理は味付けでカビ臭が隠されてしまったのだろう。ただスープの具材の鯉らしい魚がかび臭い。鯉は元来臭いのある魚だがどうやらひと際臭う地元の産らしい。
上等のレストランは良い水を使ってお茶を出してくれたが中級レストランは茶葉代を取るのに水は水道水だった。
茶葉市場の試飲用はさすがにボトルからだった。だがホテルの飲料ポットの中は水道水、ミネラル水に替えてお湯を沸かした。1.5リットルなんて直ぐに消費。
随分昔だが西宮の水が不味くて閉口、浄水器に凝った事がある。風呂の水までろ過できないのが残念なくらい臭った。あの頃は琵琶湖でアオコが大量発生したとかで水道用の水に木炭の消臭剤を大量投入しているニュースもあった。
経済発展で活気づいている上海の人たちも水の不味さに困っているのではないか。
上海市内を走るタクシーの多くはフォルクスワーゲンだったが、
ドイツ人よ、車よりブリタを売り込め。