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January 13, 2007

ダーウィンの悪夢

070114

アフリカのビクトリア湖に棲む魚を巡ってのドキュメンタリーである。

元来棲んでいなかったナイルパーチが放流されたのは半世紀ほど前、その肉食の魚が湖の生態系を変えた。そのナイルパーチが美味であったことは幸運であったのだろうか。巨大な魚は白身に加工され欧州にロシアの貨物機で運ばれる。日本も輸入しているらしい。

その魚に拠って生活いている多くの人が居る。現地のアフリカ人の雇用はあるにしても本当に彼らを豊かにしてくれているのか。

魚好きの私としてはフィレを取った後のアラの行き先が気になった。魚の美味しい部分というのはフィレではない。頭と腹はどの魚も美味いがナイルパーチもそんな風に見える。
魚のアラは棄てられていなかったが汚いトラックで運ばれてアフリカ人のために加工されていた。蛆が蠢く魚を干して油で煮る作業。スクリーンからアンモニア臭が漂うようだった。一人の女性はアンモニアで片目を失っていた。大切に扱えば美味しいアラも設備が無ければ加工のしようが無いのだ。

私の常識がまったく通用しない世界。
ストリートチルドレンとなった子供達の暴力的な世界、食べ物を奪い合い、危険な自家製ドラッグでの現実逃避。兵士や軍が憧れの対象だという警備員。戦時の殺人を平然と語る彼はどんな人生をおくってきたのか。コンピュータを学びたい語った若い売春婦は殺されてしまった。エイズが蔓延しているのにコンドームを否定する牧師。
壊れた飛行機の残骸が放置された飛行場で貨物機を自分達で整備するロシア人達。武器を運んでアフリカに来た事もあると語る・・・。

アフリカの彼らの生活と日本の我々の生活は無縁ではない。ナイルパーチが我々の食卓に届いているように世界はどこも繋がっているのだ。魚を食べる時アフリカを思おう。

ところで私の好物の魚にメロがある。切り身でしか見たことが無い。以前ネットで検索したその魚の全体像は想像以上に不気味だった。人気があるせいか価格が高騰している。牛肉より高い。


アフリカの状況を知るためには良い映画だったが、魚好きゆえ感想が乱れてしまった。

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January 04, 2007

上海の伯爵夫人

070104

大戦前の上海が舞台でスタッフもキャストも凄い、それに去年上海を旅したので街の歴史に興味もある。
今年1本目に適当か。

1930年代の上海は現在よりもっと多くの色々な立場の人々で構成されていたのか。
共産党・国民党・欧米列強・日本軍・亡命ロシア貴族・ヨーロッパを逃れたユダヤ人。

街を市電が走っていた。
どの辺りをいつ頃まで走っていたのだろう。

久しぶりにモーパッサンの「脂肪の塊」を思いだした。
人の品性って生まれ育ちに関係ないらしい。
そもそも品性は置かれた状況で変わるものでもあるまい。
日常ではなく重大な局面で保ってこその「品」だ。

年配のカップルの話し声に苛立つ自分が小さく思える。

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