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June 07, 2007

バベル

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昨日の酷い映画の口直し。

死の臭いがぷんぷんするが実際に死人は出ない。(と、思う)

幼い子供を失って心が離れてしまったアメリカ人夫婦。
息子の結婚式に出席するために預かった子供達をカリフォルニアからメキシコへ連れ出す不法就労のメキシコ人家政婦。
ジャッカルを追い払うためにライフルを入手した羊飼いのモロッコ人家族。
自殺した母への思いを引きずる東京都心に暮らす父娘。

この4家族の話が行きつ戻りつ進行。
巧い!

東京のパートがあまりにリアルなのでモロッコやメキシコもそうなのだろうと思いたくなる。
もっとも役所広司と菊池凛子の父娘が暮らすマンションの豪勢さには眼を剥いたが。

外国映画の中の陳腐な日本に失笑したことは多かったがリアルな日本の描き方に感心。
日頃観ているTVドラマの日本より余程リアル。

バベル(バビロン)とはなかなか凝ったタイトル。
ここでは言語ではなく一丁の銃が混乱を引き起こす。

私が子供の頃は少年雑誌の中で半ズボンの少年探偵が二丁拳銃を振り回していた。
この映画「バベル」と真逆なフィクションの世界。
でも近頃はフィクションの世界を現実にしてしまう事件の何と多いことか。仮想世界を仮想と思っていないのではないか。

銃で傷付いた肉体の脆さや恐怖、そこから派生する混乱。
世界が近づいた現在、銃の扱いは一国だけの問題ではない。
銃とは飽くまで殺傷のための道具だという事を知って欲しい。

そんなメッセージを映画から受け取った。


珍しく私が祈った部分がある。
帰宅した役所父が最高層の部屋で娘を探す時、彼女が居てくれるように思わず祈った。
全裸の菊池娘がベランダに居た時は心底ホッとした。
もうひとつ、警察に撃たれたモロッコの少年も病院に運ばれて助かったと思いたい。
生きていて欲しいのだよ。


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