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May 07, 2008

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

2008_0507

ダニエル・デイ=ルイスは巧い。
いつも違うタイプを演じているのにどれにもなりきってしまう。

今回は屈折した山師。
金や石油に執着する欲が彼の生きる力。
自分の欲望のためには何でも利用する。

1898年、独りで採掘を続ける主人公。
発破事故で傷付いても金を掘り当てる。
死の恐怖に勝つ彼の強烈な欲望は何なのだ。

ヒロインは登場しない。
「息子」は居るが彼の愛情はそこに無い。
ただ自分の成功のみが生きる力だ。

石油採掘現場での死亡事故や火災の処理などを冷静に対処する主人公は有能に見える。
が、人々の幸せや成功は彼の喜びではない。
私の周りにはこんな強烈なエネルギーを持った人は居ない。

屈折した若い牧師が登場する。
父親に暴力を振るう彼は、成功の目標は異なるも主人公の分身に思える。

他人は利用するためだけにある、のか。
喜びを共有できないなんて哀しい。

キツイ映画だが石油はアメリカンドリームの定番だし、現在もアメリカが戦争を仕掛ける欲望の対象でもある。
初期の採掘方法やパイプライン、荒野に町が出来ていく様を見るだけでも勉強にはなる。

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